スピーカー

YAMAHA NS-1000M


『往年の名スピーカーリストア』

YAMAHA NS-1000Mというスピーカーがある。

1974年発売で当時は一本108,000円した。
ステレオは右と左にスピーカーを配備するので一本だけ買う人はまず居ない。
というか売ってくれないと思う。
左右対称に作られているので故障したときのみ一本買いが許されたと思う。

日本のオーディオマニアはかなりの人が買ったし、スエーデンやフィンランドの国営放送局でもモニターとして使われたようだ。
30cmウーハー(低音用)68mmベリリウムドームダイアフラムのスコーカー(中音)、30mmベリリウムドームダイアフラムのツイター(高音)のスリーウエイ構成でオーソドックスだが強力な磁気回路、凝ったBOXの作りで人気ナンバーワン、ベストバイとなった。

僕は当時は高校生でとても二本で20万円もするスピーカーなんて買えなかった、16cmのフルレンジスピーカーキットを中学の時行きつけのラジオ屋で見つけおそらく二本で3,000くらいだったかな?
自分で組み立ててBOXも町にあった製材所から15mm厚ベニア板を買って自分で作った。
それでも家にあったセパレートステレオに付属していた大型スピーカーよりも音が良くなってビックリした。

それからはひたすら自作スピーカーを使ってきた。
大学生になって20cmフルレンジ二本使ったバックロードホーンを作った。
大学寮でコツコツ作っていたら好きな連中が集まってあっという間に出来てしまった。
総予算5万円くらいだったと思う、合格祝いは全てこれにつぎ込んだ。
小型冷蔵庫くらいの大きさで重量は一本40kgほどあったろう。
この頃のほとんどの大学生は丸井のクレジットで大体30万円くらいのセット
(レコードプレーヤー、アンプ、チューナー、カセットデッキ、スピーカー)
を買うのが標準的であった。

丸井はほぼ定価売りだが表示価格が月の支払い額で表示してあって
5千円~一万円くらいなら月数回のバイトで払える。
僕の作ったスピーカーは大学寮一番のスピーカーとして知られいろんな学生が聴きに来た。
大学祭のディスコスピーカーとしても活躍した。
もうNS-1000M(通称センモニ)なんて眼中に無かった。
しかしセンモニを買える学生も寮には居なかった。
せいぜいが一本59,800円くらい。

しかしこの商売を始めてみると、このスピーカーを経験したお客さんが多いこと。
ハードオフに持っていったら一本5千円にしかならなかったお客さんも居る。
もう40年以上前だしそれだけ各部が劣化してそれくらいの価値にしかならないようだ。

今回はDENONのプレーヤーとYAMAHAのアンプを直してやったお客さんからの依頼だった。
アンプは一度直したが今度は別のトランジスタがパンクして長岡から送られてきた。
その後にスピーカーも見てくれとセンモニもやってきた。
これだって重さが31kgあって一人ではなかなか箱を開けて出す気がしない。
ズルズルと4年もほおってあった。
オーディオマニアは穏やかな紳士ばかりでなかなか催促しない、やはり催促が多いお客さんの依頼品を優先してしまう。
だが今回は電話やメールで真剣に催促してきた。

聞けば僕とおない歳、そろそろ退職してゆったりとオーディオを楽しむのが見えてきたのだろう。

4年待たせたので心臓手術などで31kgもあるスピーカーなんて箱を開ける気も起きなかったと言い訳しておわび。

もう健康に戻ったから早めに修理しますと期限を区切った。
まずアンプ直さないとスピーカーは有っても意味が無いからアンプを6月中に直すと約束。

こういう風に自分を追い込まないとこの男はいつまでたってもやらない。
僕の座右の銘は

「明日で済む事は今日はやらない」(笑

早速、札幌のジャンク屋にアンプを一台発注。
北海道って広い家に住んでいるから古い物をあまり捨てない。
先人が亡くなってから処分するのでアンティークなどの宝庫。
レコードやオーディオの天国です。

外側は汚くとも中の部品は使えるのでトランジスターやトランスを使ってさっさとアンプは直して期限内に発送。
残ったジャンクはまた札幌のジャンク屋に返す。
差額を支払うだけだから無駄が無い。(笑
格安でアンプは早々とけりをつける。

スピーカーは磁気回路さえ生きていればなんとでもなる。
スピーカーユニットは金属メッシュカバーしてあるので埃がたまり放題。
中はところどころが錆びている。

埃を取り去ってもカビのシミが出来ている。
錆びも音は出ているので研磨して取り去り保護膜(ペンキやグリースや樹脂)を作ってやる。

修理の基本はクリーニングだね。
そして後処理で劣化を防いでやる。

段々欲とアイディアが閃く。
もう商売そっちのけであれもこれもしたくなる。
結局やったのは

1、各ユニットをクリーニングして新品状態に戻す。
2、BOX、ユニット、金属メッシュカバーなど再塗装。
3、ダンプ剤塗布してエッジの破れや劣化を防ぐ。
4、シミのあるコーン紙に専用塗料で黒塗装。
5、安っぽいワンタッチ端子を金メッキのバナナ端子が使える高級オーディオ用に交換。
6、端子板は図面をCADで書いて加工業者に発注。(工作機械があれば自分で出来るのだが)
7、ガリのある2個のアッテネータ(ボリューム)を完全オーバーホール。
8、BOX中は掃除機で徹底的にクリーニング。
9、ビス新品

まあそんなとこかな?
接着剤や塗料は適材適所に使える豊富な知識が必要。
家具だって直してやれるが音の出ないものはつまらないのでやらない。

新品価格をもらっても良いくらいの内容だが1/4額くらいでやってあげる。
だから常連客が離れない。
自分でいうのもなんだが優良修理業者です。(笑

さんざん自作スピーカー作ってきたのでどんな程度のスピーカーでも直せます。

さて視聴して新品の音に直った事を確認して電話で報告、嬉しそうだ。
当然、明日には手元に戻してくれる事を希望するよね?

使っている運送業者、ヤマト運輸に電話する。
箱含めると34kgなのでヤマトでは取り扱わない。
引越し業者を紹介してもらう。
しかしスピーカーは精密機械なのでチャーター便になるとの事。
近場でも運送料は6万円。
僕の修理代より高い。

毎回秋田の農業をやっている友人から秋田こまちの玄米30kgを送ってもらっているのでその業者、第一貨物に電話したら34kg2個口を引き受けてくれることになった。

梱包も手伝ってもらうつもりだったが、運送業者ってヤマトも第一貨物もやらないのだね。
西日の当たる40℃以上はありそうな玄関口で汗だくで梱包。
一番辛い作業だった。

今日はお客の喜びの声を聞けそうだ。
これが一番。

注意:30kg以上の物は宅配便で送れません。
持ち込み、引取りできる方
ユニットで送ってくれる方のみ受け付けます。

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短期売買の株取引